セーレンは16日、ワンピースをデジタルサイネージ(電子看板)で試着・注文できる店舗を東京都内に開き、オーダー衣料品事業の本格展開に乗り出した。スタイルや柄など47万通りから選べば3週間で手元に届く。原糸から縫製まで一貫生産する強みを生かし、在庫を抱えずに済む仕組みを構築した。
高島屋日本橋店(東京・中央)と新宿店(同・渋谷)に開店したセレクトショップ「エクセラウンジ」内に出店した。同店は女性管理職・経営者をターゲットに据える。高島屋の担当者は「女性管理職は自分らしい服が欲しいという要望が特に強かった」と語る。
システムは全身写真を撮影し、ワンピースの形や柄、色を選べば実際に着たイメージが等身大の電子看板に映る。セーレンの川田達男会長は「30年来の夢がかなった」と感慨深げに語る。川田会長は1987年の社長就任当初からIT(情報技術)によるものづくりを掲げてきた。カーシート材など車両資材を主力事業に育てたが、衣料品事業への思い入れは強い。
「原糸製造のKBセーレン(大阪市)の前身であるカネボウの繊維事業を2005年に買収したのも、オーダー事業を念頭に置いてのこと」と結川孝一社長は明かす。電子看板による試着システムは電機メーカーなどが売り出しているが、総合繊維メーカーの強みを生かし、注文から製造まで一気通貫で対応する。
今後は大阪などの大都市に出店を検討する。スマートフォンからも商品を選べるようにしたり、パンツなど商品を充実させたりする。19年3月期に衣料品の製造小売りで売上高20億~30億円を目指す。