道庁は16日、2015年の基準地価(7月1日時点)を発表した。林地を除く道内全体の平均変動率はマイナス2.0%と24年連続の下落となったものの、下落率は5年連続で縮小した。上昇は86地点と前年より13増加した。住宅地ではマンション需要が好調な札幌など都市部で上昇、下落幅の縮小傾向が広がった。一方、人口減や経済の低迷に直面する一部の地域では下落に歯止めがかかっていない。
住宅地の平均変動率はマイナス1.9%と前年より0.2ポイント縮小。01年のマイナス1.8%以来、14年ぶりに下落率が2%を切った。前年と比較可能な796カ所の調査地点のうち、上昇は53地点(前年は48)、横ばいも180地点(同167)とともに増えた。
札幌市の住宅地は1.4%上昇し、上昇率は前年の倍に広がった。北海道不動産鑑定士協会は「消費増税の影響が一巡したことに加え、金融緩和で若年層の住宅取得が活発になっていることが追い風」と分析する。
都心に近く高級住宅地として人気が高い宮の森・円山地区がある中央区は4.4%と全10区で最大の伸び。道内の住宅地の最高価格地点となった中央区宮ケ丘の地点の上昇率は7.9%と前年の6.0%から拡大した。
こうした傾向は市の中心部以外にも広がっており、不動産鑑定士の斎藤武也氏は「建築費が高騰していてもマンション建設に踏み切るデベロッパーが増えている」と指摘する。
札幌市以外でも、前年マイナス0.1%だった帯広市が横ばいとなり、釧路市がマイナス0.5%、旭川市がマイナス0.9%となるなど、主な都市部では下落幅が縮小している。
一方、経済が低迷する地域では下落が続いている。
14年に水産加工業協同組合が経営破綻した古平町。道内の住宅地の下落率の上位10地点に3地点が入り、いずれも8%以上の値下がりとなった。同町では過去5年で人口が11%減少するなど、組合の破綻以外のマイナス要素も足を引っ張る。
美唄市も人口が全道の1.6%減を大きく上回る9.5%の減少で、下落率の上位には同市や滝川市、岩見沢市などの旧産炭地が並んだ。
商業地は全道で2.1%のマイナス。下落率は前年から0.7ポイント縮んだ。268カ所の調査地点の中で上昇は33地点。このうち31地点は札幌にあり、残り2地点は訪日観光客が増加する倶知安町と富良野市にそれぞれ1つずつだった。
富良野の地点は今年6月に拡大した商業施設「フラノマルシェ」の目の前にあり、集客効果が周辺にまで及んでいる。16年3月に北海道新幹線の開業を控える函館市の下落率は1.4%と前年より1.1ポイント縮小した。