埼玉県熊谷市で6人が殺害された事件で、県警は20日、14日に遺体で見つかった田崎稔さん(55)、美佐枝さん(53)夫妻に関する殺人と住居侵入の疑いで、ペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン容疑者(30)の逮捕状を取った。
同容疑者は16日の身柄確保時に転落し頭を打ち、現在も意識不明で入院中。県警は回復を待って詳しい事情を聴く。16日に遺体が発見された白石和代さん(84)や加藤美和子さん(41)と娘2人の事件についても関与した疑いがあるとみて捜査する。
逮捕状の容疑は、14日に田崎さん宅に侵入し夫婦を刃物で刺殺した疑い。県警によると、田崎さん宅で見つかった遺留物のDNA型が同容疑者のものと一致している。
捜査関係者によると、田崎さんが自宅で先に刺され、まもなく午後5時ごろに車で帰宅した美佐枝さんも襲われた可能性があるという。
車は15日朝、近くの駐車場で乗り捨てられていた。その近くでは自転車が盗まれ、白石さんらが殺害された現場周辺で見つかった。同容疑者が車から自転車に乗り換えた疑いがある。
6人の殺害に使われた凶器は、遺体の傷の形状などからいずれも包丁とみられる。県警は、同容疑者を加藤さん宅で取り押さえた際に包丁2本を押収しており、現場住宅で入手した可能性もあるとみている。
一方、熊谷市内の斎場では20日、田崎さん夫婦の告別式がしめやかに営まれた。最後の別れを告げた参列者は「悔しい。悲しい気持ちでいっぱい」と肩を落とした。
祭りが好きだった美佐枝さんの知人男性(47)は「また一緒にお祭りをやりたかった」と話した。稔さんが勤めていた会社の元同僚は「警察の対応次第では、こんなことにならなかったのでは」と厳しい表情だった。〔共同〕