埼玉県熊谷市の6人殺害事件で、県警が夫婦刺殺容疑で逮捕状を取ったナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン容疑者(30)の母国ペルーに捜査員を派遣する検討を始めたことが23日、捜査関係者への取材で分かった。警察庁などと近く調整し、現地での捜査内容を協議する。
捜査関係者によると、ナカダ容疑者は身柄確保前に住宅2階から転落して意識不明となり入院中。県警は同容疑者が一連の事件に関与した疑いが強いとみており、動機や事件当時の心理状態などを把握するには、ペルーでも捜査の必要があると判断した。
検討している捜査内容は現地当局での犯歴の有無の照会、成育状況や近況を知る親族への聞き取りなど。夫婦が刺された現場には血で書かれた意味不明の文字も残されていたため、精神疾患による通院歴がないかも確認する。
事件は3軒の住宅で相次いで発生。熊谷市見晴町で14日に50代夫婦が刺されて死亡し、そこから約1.5キロ離れた同市石原では16日、84歳女性や母娘3人が遺体で見つかった。
捜査関係者によると、それぞれの住宅には運動靴のような同じ足跡が残され、ナカダ容疑者の靴と酷似している。
夫婦刺殺事件が発生する前日の13日、熊谷署で話を聴かれたナカダ容疑者は「ペルーへ帰りたい」と話した。同容疑者の心理状態に関し、姉などは県警に「ストレスがたまっていたようだ」「不安定だった」と説明したという。〔共同〕