【フランクフルト=加藤貴行】欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は25日、排ガス試験の不正問題で引責して辞意を表明したマルティン・ヴィンターコーン社長(68)の後任に、VW傘下の独ポルシェ社長、マティアス・ミュラー氏(62)を充てる人事を決めたと発表した。同日付で就任した。自動車業界を揺るがす不祥事のさなかにあるVWは体制を大幅に見直し、原因究明と傷ついた信頼の回復に取り組む。
25日、フォルクスワーゲンの社長に就任し記者会見するミュラー氏=AP
ミュラー氏は同日、独西部のVW本社で記者会見し、「VWグループへの信頼を取り戻すため、あらゆることをする」と述べた。法令順守などを徹底すると強調し、約2分の声明を読み上げた最後に、「我々はこの危機を乗り越える」と結んだ。
ミュラー氏は1978年、VW傘下の独アウディに入社し生産管理部門が長い。アウディ社長だったヴィンターコーン氏がVW社長に昇格した2007年に同じくVWに移った。10年にはVWと経営統合を決めたポルシェの社長に転じ、VW・ポルシェの相乗効果を生み出し、今年2月にVW取締役の兼務となりVWグループの生産計画を担当してきた。