財務省は26日、2016年度予算の編成作業に着手した。国立大学に授業料や寄付金などの自己収入を年間で1.6%増やし、小中学校の教職員数は今後9年間で約3万7千人減らすことを求めた。在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)については減額が必要とした。各省との折衝を本格化させ、年末に予算案をまとめる。
同日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)では文教・科学技術、防衛、社会資本整備の3分野を議論した。
文教では国立大学の収入のうち、国が配る運営費交付金が5割超を占める現状を問題視。自己収入を年1.6%増やす一方で交付金を年1%減らし、15年間で交付金と自己収入を同額程度にすべきだとした。文科省や大学は反発しそうだ。
自己収入を増やすには授業料引き上げが有力な手段。保護者の所得が低い学生の負担が重くなりすぎないように、審議会では複数の委員が「奨学金制度の整備も必要だ」と述べた。小中学校の教職員数には減らしても現在の教育環境を維持できるとした。文科省の要求ベースとは約3万2千人の開きがある。
防衛では「在日米軍の駐留などにかかる経費の負担は急増している」として「負担を見直して減額が必要」と指摘。韓国やドイツなど他の米軍駐留国が負担していない光熱水費の廃止や駐留軍で働く調理師などへの給料といった労務費の廃止・縮小を挙げた。