日銀の黒田東彦総裁は30日、量的・質的金融緩和の現状維持を決めた金融政策決定会合の終了後の記者会見で「できるだけ早期に2%の物価安定の目標を達成するのに必要であれば、追加緩和であり何であり調整を行う」と、金融政策をちゅうちょなく調整する姿勢を示した。物価安定目標の早期達成に向けた手段について「限界があるとは全く思っていない」と強調した。異次元緩和は「所期の効果を発揮している」とし、「信認が崩れているわけではない」との考えを示した。
黒田総裁は量的・質的金融緩和のもとでの大規模な国債買い入れについて「いずれ限界がくることは観念的にはその通り」と認めつつ、「今は国債の発行残高の3割弱(を保有している)」とし、「イングランド銀行は7割まで買い進んだ」と指摘。そのうえで「7割まで買うと言っているわけではないが、今の段階で限界が来るとか(限界を)考慮しないといけないということはない」と強調した。政策の現状維持を決めた背景について、黒田総裁は「いろいろな議論はあるが具体的に追加緩和の提案はなかった」と説明した。
日銀の資産規模が国内総生産(GDP)の7割程度に達しているとの指摘については、「(資本の)基盤を十分考慮しつつ2%の物価安定の目標を達成しなければならない」と指摘した。一方で、「量的・質的金融緩和の出口にさしかかった際に収益が減るとか赤字になることがあり得るので金融緩和をしないとか2%(の目標)を達成しなくてもいいとは思っていない」と、物価安定目標の達成を優先する姿勢を強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕