星野リゾート(長野県軽井沢町)は11日、「雲海テラス」で知られる複合型リゾート、星野リゾート・トマム(占冠村)の全株式を12月1日に中国の商業施設運営会社、上海豫園旅游商城に売却する契約を結んだ。運営は引き続き星野リゾートが担い、名称も変えないとしている。ただ、中国資本となることに、驚きと不安が入り交じった反応が広がった。
上海豫園旅游商城は星野リゾートが20%、米系ファンドが80%保有する株式を計183億円で取得する。星野リゾートは「グループ内では施設の運営に専念する取り組みを進めている」(広報)と話し、今回の株式売却もそうした流れの一環だとしている。
星野リゾート・トマムは地元の占冠村の住民の1割強を雇用するだけに同村は「売却には驚いたが、同社が運営を続けると分かり安堵している」(企画商工課)。ただ、今後の開発には株主の意向が反映される可能性はある。村は335万平方メートルの敷地のうち国有地を除く部分の約3割と、宿泊施設の一部も保有しており「同社から詳しい説明を聞きたい」という。
道内のホテルには外国資本が急速に流入している。12月にはキロロリゾート(赤井川村)やルスツリゾート(留寿都村)で外資系の高級ホテルが相次ぎオープン。2019年にはニセコ地区で米系のパーク・ハイアットの開業も控える。北海道観光振興機構の阿部欣司アドバイザーは「道内観光の国際化は我々が思ったよりずっと速く進んでいる」と話す。