財務省が1日発表した2015年7~9月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比11.2%増の10兆4937億円と、10四半期連続で増えた。自動車の増産投資などで伸び率は4~6月期(5.6%増)を上回り、設備投資の勢いが加速。7~9月期の設備投資額としてはリーマン・ショック後の最高となり、前年比の伸び率は07年1~3月期以来の高水準だった。
産業別の設備投資の動向は、製造業が12.6%増と5四半期連続で伸びた。非製造業は10.4%増で10四半期連続のプラス。新型車や自動車向け電子部品の増産投資、スマートフォン(スマホ)関連の投資などがけん引した。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は、季節調整済みの前期比で5.4%増えた。4~6月期(前期比2.7%減)から2四半期ぶりのプラスに転じた。
経常利益は前年同期と比べ9.0%増の15兆2172億円だった。北米中心に自動車販売が好調で、円安効果も寄与。小売業では訪日客の需要増も利益を押し上げ、7~9月期としては過去最高だった。一方、季節調整済みの前期比では6.3%減り、消費増税後の14年4~6月期(6.6%減)以来のマイナス幅だった。原油安による製品価格の低下などで石油・石炭業が不調だった。供給過剰の影響が続く鉄鋼業も振るわなかった。
全産業の売上高は前年同期比0.1%増の328兆2391億円だった。製造業は微減だったが、非製造業(0.1%増)は10四半期連続で伸びた。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や投資動向を集計。今回の15年7~9月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。〔日経QUICKニュース(NQN)〕