パリの同時テロを受け、警察庁は4日、テロ対策の強化を全国の警察に通達した。大規模商業施設など多数の市民が集まり警備が緩やかな「ソフトターゲット」の警戒を強めるよう指示。爆発物の原材料になる化学物質を取り扱う事業者との連携なども強め、官民一体でテロ対策を進めたい考えだ。
警察庁は同時テロ発生直後の11月14日、国内の情報収集や集客施設の警戒強化など同様の指示をした。今回は内容を追加し、改めて対策の徹底を図る。
今回のテロでは、スタジアムや劇場、レストランが狙われた。こうしたソフトターゲットは施設管理者による自主警備が基本で、警察当局の警戒警備は手薄になりやすい。通達ではスタジアムやショッピングモールなどを例示し対策の強化を求めた。
具体的には、各地の警察が(1)警備員らの巡回、防犯カメラの整備、手荷物検査などの防止策(2)避難誘導の訓練(3)不審者や不審物の通報――を施設管理者に働きかけるよう指示。警察の対策として、施設周辺で機動隊や制服姿の警察官、パトカーが巡回するなど「見せる警戒」を展開することを求めた。
爆発物の原材料となる化学物質については、取り扱う店舗に管理の徹底を促すとともに、不審者による大量購入などがないかをチェックするなど警察との連携体制も強化する。テロ防止には「住民の協力が不可欠」として、公開訓練を含め積極的な広報活動も推進する。
このほか、政府機関など重要施設の警戒警備や銃器の取り締まり、テロリストの入国を阻止する水際対策も徹底する。