【ニューヨーク=高橋里奈】国連安全保障理事会は10日、北朝鮮の人権侵害を議題とした公開討論を開いた。北朝鮮の強制労働や拉致問題などを話し合い、状況の改善を訴えた。拉致問題について「北朝鮮は日韓など隣国も危険な目に遭わせている」(スペイン代表)との批判も相次いだ。
公開討論は米英仏など9カ国が共同提案した。ただ、中国が「安保理は人権問題を議論する場ではない」と反対した。開催の是非を採決するよう求め、ロシアなど4カ国が反対票を投じた。
安保理は「世界人権デー」の10日に合わせ、北朝鮮の人権侵害を討議した。12月の安保理議長である米国のパワー国連大使が脱北者を招き、強制労働や拷問の実態を紹介した。脱北者を強制送還した中国も暗に批判した。日韓もオブザーバー参加し、日本の吉川元偉国連大使は拉致問題について「多くの日本人を含む外国人も被害にあっている」と訴えた。
北朝鮮は参加しなかった。安保理は昨年12月に初めて北朝鮮の人権問題について討議し、今回が2度目となる。