【ニューヨーク=稲井創一】米石油メジャーは2016年も投資を削減する。コノコフィリップスは10日、15年実績(見通し)比で約25%減の77億ドル(約9400億円)に16年の投資額を減らすと発表した。シェブロンも24%減の266億ドル(3兆3700億円)とする方針だ。原油の供給過剰懸念は依然拭えず、米石油大手は守りの経営を継続する。
コノコのライアン・ランス最高経営責任者(CEO)は「計画を作るのに厳しい市場環境が続く」との認識を示した。コノコの15年の投資額は102億ドルとなる見通し。14年比で40%減る。16年は15年に比べて削減額が縮小するが、投資額は14年の半分以下の水準まで減る。
同社は米シェール向けの投資をさらに絞るとみられ、16年の米国(アラスカ除く)の投資は26億ドルと3割減らす。ただ、16年の原油・天然ガス生産量は15年計画に比べ1~3%増えるという。
シェブロンもジョン・ワトソンCEOが8日に「最も重要な事は株式配当を維持することだ」と語った。原油安にともない現金収入の低迷が続いているため、引き続き投資の抑制を続けて配当原資などを確保する。当初17年までの3年間の資産売却額を150億ドルと計画していたが、さらに積み増し160億~210億ドルに増やす予定だ。
石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送っていることもあり、他のメジャーも16年に投資削減に動く可能性が大きい。メジャーの投資抑制で、掘削などの現場作業を請け負う石油サービス会社の経営はさらに厳しい状況に追い込まれそうだ。このところの投資抑制によって、将来的に原油需要が回復した場合、供給不足に陥るとの懸念も出ている。