日銀が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス12だった。前回の9月調査(プラス12)から横ばいだった。化学や造船・重機などが改善した半面、中国景気減速の影響で非鉄金属や機械が悪化し全体の重荷になった。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。12月の大企業製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値のプラス11を上回った。回答期間は11月11日~12月11日で、今回の回答基準日は11月27日だった。
3カ月先については、大企業製造業がプラス7になる見通し。新興国経済の先行き不透明感などから石油・石炭製品や繊維、電気機械などを除く多くの業種で景況感の悪化を見込む。
2015年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=119円40銭と、前回の117円39銭よりも円安・ドル高方向に修正された。
大企業非製造業のDIもプラス25と、前回から横ばいだった。マンションのくい打ちデータ偽装問題や人件費の上昇を背景に、不動産業や物品賃貸業の景況感が悪化した。一方、通信や情報サービスの改善が全体を下支えした。訪日外国人観光客の増加を背景とした宿泊・飲食サービスの景況感も引き続き良好だった。
3カ月先のDIは7ポイント悪化し、プラス18を見込む。通信料金の値下げ圧力を背景に通信が大幅な悪化を見込むほか、新興国経済の先行き不透明感などを背景に観光関連の業種も大幅な悪化を見込んでいる。
中小企業は製造業が横ばいの0、非製造業は2ポイント改善のプラス5だった。先行きはいずれも悪化を見込んでいる。
15年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比10.8%増だった。9月調査の10.9%増から小幅ながら下方修正されたが、QUICKがまとめた市場予想の中央値(10.2%増)は上回った。世界的な景気の先行き不透明感は根強いが、過去最高水準の企業収益などを背景に修正幅は小幅にとどまった。大企業のうち製造業は15.5%増、非製造業は8.5%増を計画している。
全規模全産業の設備投資計画は前年度比7.8%増で、9月調査の6.4%増から上方修正された。中小や中堅企業は軒並み上方修正し、市場予想の中央値(6.8%増)を上回った。
大企業製造業の輸出売上高は前年度比3.4%増と、9月調査から上方修正された。円安基調が続いていることで輸出企業が先行きについて強めの計画を設定したとみられる。
大企業製造業の販売価格判断DIはマイナス11と、9月調査(マイナス7)から4ポイント下落した。DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。個人消費の低迷が長期化しており、企業がコストを販売価格に転嫁する姿勢が一段と弱まった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕