【フランクフルト=加藤貴行】排ガス試験の不正問題があった独フォルクスワーゲン(VW)を巡り、引責辞任した前社長のマルティン・ヴィンターコーン氏が2016年末まで社長時代と同じ水準の巨額の報酬を受け取ることになっていると独メディアが18日報じた。独経済紙ハンデルスブラットによると、同氏の年間報酬は約1520万ユーロ(約20億円)にのぼる。
ヴィンターコーン氏の報酬はドイツの株価指数DAXに採用されている30社のなかでは最も高額で知られる。辞任前からの社長任期が16年末に切れ、退職金を支払うよりも報酬を支払う方が少額になるという。現時点でVWが支払いを止める予定はないとしている。
ヴィンターコーン氏は辞任時に不正を知らなかったと主張し、会社側も10日の中間報告では取締役ら経営層の関与を示すものは見つかっていないと説明した。
ただVWは15年7~9月期にリコール(回収・無償修理)の関連費用などで67億ユーロの引当金を計上し、来年の自動車部門の投資も従来計画から10億ユーロ圧縮する。業績が厳しいなか、同氏に報酬を支払い続ける会社側への批判が広がる可能性がある。