東日本大震災の津波で福島県大熊町からハワイ沖に流された水上バイクの修理が終わり、21日までに持ち主の同県いわき市の会社員、松永友宗さん(50)に引き渡された。静岡県の浜名湖で試運転した松永さんは「軽やかに走れた。震災前に戻った気分。楽しかったころを思い出した」と感慨深げに語った。
水上バイクは海岸から数百メートル内陸の当時の自宅倉庫で保管していたが、津波で押し流された。昨年5月に米国の生物学者がハワイ沖の環礁で発見し、登録番号から松永さんのものと判明。遠洋航海実習中だった福島県立いわき海星高の協力を得て日本に持ち帰った。
松永さんが製造元のヤマハ発動機(静岡県磐田市)に「資料として使ってほしい」と打診すると、同社が「これからも使ってほしい」と無償修理を申し出ていた。
引き渡しのセレモニーでは、同社ボート事業部の小柳智義主査が「荒波にもまれた水上バイクを修復することで、被災者に希望を与えられたらという思いでやってきた」とあいさつ。笑顔で鍵を受け取った松永さんは「もう直らないと思っていたが、見覚えのある傷も残してもらい、本当にありがたい」と話していた。〔共同〕