京都大iPS細胞研究所は8日、iPS細胞から作った心筋細胞の中で移植にふさわしい細胞を選ぶ条件をマウスの実験で突き止めたと発表した。iPS細胞から育て始めて20日後の心筋細胞が移植後に最も増殖しやすく、心臓の機能回復を促した。将来は心臓移植を待つ重症心不全の治療に役立てたいという。研究成果を英科学誌(電子版)で報告した。
ヒトのiPS細胞を心筋細胞に育てる際に、培養期間が長いほど細胞が成熟し大人の心筋に近づく。ただ、どの程度の期間が最適なのかはわかっていなかった。
研究チームは、4~30日の培養期間を4段階に分けてiPS細胞を心筋細胞に育て、それぞれをマウスの心臓へ注射した。胎児期にあたる20日の培養でできた心筋細胞が移植後に最も増殖しやすかったという。細胞は移植から3カ月後まで増え続けた。マウスに心筋梗塞を起こさせて実験したところ、心機能の低下を抑制できた。