東京電力福島第1原子力発電所事故で全町避難が続く福島県双葉町の伝統行事「ダルマ市」が9日、避難先の同県いわき市で開かれ、5年ぶりに巨大だるま引き合戦が復活した。
避難先の仮設住宅の広場で開かれた「ダルマ市」で、巨大だるまを引き合う福島県双葉町民ら(9日午後、福島県いわき市)=共同
同市の南台応急仮設住宅に高さ3.3メートル、重さ700キロの巨大だるまが登場。住民ら約200人が東西に分かれ「せーの」の掛け声でだるまにつながる綱を引き合った。無病息災や商売繁盛を占ったが、1勝1敗1分けの引き分けだった。
埼玉県加須市に避難している吉田たか子さん(71)は「にぎやかだったころを思い出し懐かしい。過去を振り返ることなく、前を向いて生きていきたい」と話した。
だるま引き合戦はダルマ市の呼び物として、事故前まで町内で行われていたが、避難時にだるまを運び出すことができず双葉町の観光協会が作り直した。ダルマ市は10日も行われ、だるまみこしが披露される。〔共同〕