国交正常化60周年にあたり、天皇、皇后両陛下は26日から4泊5日の日程でフィリピンを公式訪問される。国際親善が目的で、滞在中は歓迎式典や大統領主催の晩さん会などに出席される。同国は太平洋戦争の激戦地でもあり、両陛下の強い意向で両国の戦没者慰霊も日程に盛り込まれた。国内外で「慰霊の旅」を続けられる両陛下にとって意義深い旅となる。
厚生労働省によると、フィリピンで戦死した日本人は約51万8千人で、中国本土と旧満州(現中国東北部)を区別した地域別では、最も多い戦没者を出した。日米両軍による市街戦などで多くの民間人も巻き込まれ、フィリピン人は約111万人が犠牲になったとされる。
宮内庁によると、両陛下は27日に首都マニラのマラカニアン宮殿で歓迎式典やアキノ大統領との会見に臨み、夜には大統領主催の晩さん会でお言葉を述べられる。28日には日系人や在留邦人とも懇談される予定だ。
戦没者の慰霊では、27日にフィリピン側の戦没者が眠る「無名戦士の墓」を訪問、29日には日本政府がラグナ州カリラヤに建てた「比島戦没者の碑」で供花し、日比双方の戦争犠牲者を慰められる。