元に戻った日本政府建立の慰霊碑(2月27日、インドネシア・マノクワリ、厚生労働省提供)
インドネシア・ニューギニア島マノクワリで倒れたまま、8年半にわたって放置されていた「戦没日本人之(の)碑」が2月末に復旧された。厚生労働省が取材に明らかにした。
南洋の戦没者慰霊碑、横倒し放置 8年前から厚労省把握
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マノクワリは太平洋戦争中に日本軍が駐留し、多くの餓死者が出た場所だ。石碑は、1956年に遺骨送還と追悼のため現地に赴いた日本政府の派遣団が建て、「第2次世界大戦で倒れた日本人のために日本政府により建てられた」と英文で刻まれている。2008年には高さ1・1メートルの台座に据え付けられていたが、翌09年には、台座の裏で横倒しになった状態で見つかった。地震で倒れたとみられていた。
朝日新聞は昨年、石碑が横倒しになっている写真を報道。厚労省は「碑を台座に戻したい」として今年2月末、日本の建設会社員を現地に派遣。約200キロの碑を現地の作業員6人とともにつり上げて台座に載せ、強力な接着剤で固めたという。同省の担当者は「碑が台座から落ちた状態のままになってしまったことは、ご遺族のお気持ちを考えると大変申し訳ない」とコメントした。
同様の戦没日本人之碑は1953~56年、太平洋の島々の計21カ所に建てられた。同省は、「管理不十分で、今後も適正な管理が行われる見込みがないもの」は原則として、第2次世界大戦の戦域ごとに政府が整備している、大規模慰霊碑の敷地内に移す方針だ。マノクワリの碑は、地元の人から歴史教育の場や観光資源として残したいとの声もあり、「現地関係者の意見を踏まえ、適切に対応したい」という。(編集委員・奥山俊宏)