床に敷いていた段ボールが雨漏りでぼろぼろになり、取り換えるボランティアたち=21日午後1時32分、熊本県益城町、西畑志朗撮影
熊本県を中心に甚大な被害をもたらした一連の地震発生から1週間を迎えた21日、同県内では大雨警報や洪水警報が発令された。23市町村が少なくとも約29万人を対象に避難指示や避難勧告、避難準備情報を出し、避難先を変更した被災者もいた。南阿蘇村では雨の影響で安否不明者の捜索がいったん中断された。
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熊本地震 災害時の生活情報
21日午前2時~午後7時50分の降雨量は、南阿蘇村で112ミリを記録。地震によって土砂災害が起きる恐れがあるとして出されていた避難指示に続き、一部地域に新たに避難指示が出され、同村河陽の高野台地区では同日未明、24時間態勢で続けられてきた捜索が中断された。同じ時間帯に益城(ましき)町では89ミリ、熊本市で75・5ミリなど、まとまった雨を観測。同市北区の小学校の避難所は隣接する壁が崩れる恐れがあるとして閉鎖され、避難者約400人は別の公共施設へ移った。南阿蘇村立野では、避難所が土砂災害に巻き込まれる恐れが強まったとして、約130人が隣の同県大津町にある体育館に移った。
熊本県などによると、21日現在の地震による死者は48人。これとは別に、避難生活の疲労などが原因の「災害関連死」の疑いがある死者が10人いる。県は20日には11人としていたが、修正した。
熊本県内には21日午後1時半現在、39市町村に650カ所の避難所があり、計約9万人が避難している。県内の住宅被害は全壊1495棟、半壊1377棟となっている。
県内では電力が21日までにほぼ復旧。ガスは10万戸超で止まったままで、水道も一部で断水が続く。鉄道では、JR鹿児島線の熊本―八代間で21日午後1時、運転が再開され、博多―鹿児島間の行き来ができるようになった。
JR九州は21日、新水俣―鹿児島中央間のみで運行している九州新幹線について、早ければ23日にも博多―熊本間で運行を再開するとの見通しを明らかにした。22日に応急復旧作業が終わる可能性があるという。
一方、県は21日、県内全域で被災者生活再建支援法を適用することを決め、市町村で手続きを始めた。住宅の被害程度に応じ、世帯ごとに50万~100万円を支給するほか、住宅建設や賃貸住宅を借りる際に50万~200万円を支給する。
益城町では21日、災害ボランティアセンターが開設され、全国から訪れた200人が避難所での食事の準備や清掃に携わった。22日には熊本市でもセンターが開設される予定だ。
気象庁は21日、一連の地震の名称を「平成28年(2016年)熊本地震」にすると発表した。