仕事帰りの会社員や外国人観光客らで夜間もにぎわう猫カフェ=21日午後7時42分、東京都新宿区、諫山卓弥撮影
猫とふれあいながら飲食できる猫カフェの営業時間を巡り論争が起きている。動物愛護法に基づく規則では、犬や猫を店などに展示できるのは夜は午後8時までだが、猫カフェに限り、今年5月末までの経過措置で午後10時まで認めていた。ここに来て環境省は6月以降も認める方針を示したが、「猫も夜遅くまで働くとストレスがかかる」という懸念は消えない。
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環境省によると猫カフェは全国に314店ある(15年10月時点)。その27%、86店が午後8時以降も営業しているという。
東京・新宿の歌舞伎町にある猫カフェ「きゃりこ新宿店」は午前10時から午後10時まで開き、常時約40匹がフロアにいる。昼間は若者や外国人らでにぎわい、夜はサラリーマンやカップルが多く訪れる。
同店を営み、「猫カフェ協会」理事長も務める福井隆文さんは「午後8時まででは経営がなりたたない。猫カフェの猫は小さいころからこういう環境に慣れており、ストレスはかかっていない」と話す。
午後8時以降の展示禁止ルールは2012年に定められた。ペットショップなどの犬猫の休息時間が不足しがちなことや、不適切な生活サイクルがもたらすストレスを考慮し、夜間(午後8時~午前8時)の展示を禁止した。
しかし、猫カフェの業界団体が「営業活動の自由を侵害している」「猫は夜行性である」などと申し入れたのを受け、猫カフェに限り期限付きで午後10時まで認めた経緯がある。
環境省は、猫にストレスがかかると増加するホルモンの糞(ふん)中濃度を調べた。午後8時までに閉店するカフェの猫と、8時以降も営業するカフェの猫とで比較したところ、有意な差は見られなかったという。同省は27日に開かれる中央環境審議会動物愛護部会の報告を受け、恒久的な規制緩和を決める構えだ。