登板翌日の24日に外野でキャッチボールをする中日の吉見
■スコアの余白
「1球1球を大切に」。この人の投球を見ていると、この言葉の重みを一層強く感じる。中日の吉見だ。
スコアの余白2016
最多勝を2度獲得している31歳も、過去3年は右ひじの故障で計4勝。昨秋には癒着したひじの神経をはがす手術も受けた。再起をかける今季は1試合の球数100球をめどに、登板間隔も中10日は空けて年間通して戦うことを重視する。
「投げたいという気持ちを抑えて、いまは無理をしない。間を空ける勇気も必要」。昨季は序盤こそ中10日で登板していたが、中7日にしてからひじの違和感が出て5月下旬に離脱。その後は8月に1試合投げただけでシーズンを終えた苦い経験がある。
「ひじは今も張るのでしっかりとケアをする」。神経の症状は登板から2、3日後に出てくるそうで、それを治療しながら登板に備える。9日の巨人戦は7回無失点。23日のヤクルト戦は六回途中で3失点。今季2戦で先発の役割は十分に果たしている。
最速は140キロほどだが、「速いと抑えられる、はイコールではない。制球が大事」。内外角に高低。捕手の構えたミットの逆に行くことはほとんどなく、組み立ての重要さを再確認させてくれる。
ひじの様子を見るため、24日に出場選手登録から外れた。「投げてリセットして、また投げる。それを1年繰り返したい」。もどかしさもこらえつつ、1球ずつ丁寧に投げていく。