偽装された「eKワゴン」の燃費は発売当時、ライバル車を上回っていた
三菱自動車が燃費試験データの不正操作をしていた問題で、競合他社が低燃費の新商品を投入する際に、三菱自が開発中の商品の燃費目標を引き上げていたことが分かった。激しい燃費競争を背景に、偽装に手を染めたのか。リコール隠しなど一連の品質問題を受けて体質改善を誓ったはずが、不正を防ぐしくみは機能していなかった。
燃費試験データの不正操作が明らかになった三菱自の主力の軽自動車「eKワゴン」は、室内を広くした「ハイトワゴン」と呼ばれるジャンルで、スズキが売り出した「ワゴンR」が先がけとされる。
eKワゴンの当初の燃費目標はガソリン1リットルあたり「28キロ」だったが、スズキが2012年9月に「28・8キロ」のワゴンRを発売。ダイハツ工業が同じ年の12月に売り出した「ムーヴ」の燃費が「29キロになる」という情報が三菱に伝わると、社内会議で目標が引き上げられたという。