韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は26日、慰安婦問題の日韓合意に関連し、ソウルの日本大使館前に設置された「少女像」について、「少女像の撤去と連携されているが、合意で言及もまったくされなかった問題で、扇動してはならない」などと述べた。
少女像をめぐっては、日韓合意で韓国政府が適切に解決されるよう努力すると明記されている。日本政府は合意に基づいて少女像の移転を求めており、発言の真意を問う声が出そうだ。
朴大統領は韓国の新聞社やテレビ局の編集局長らとの昼食会で、日韓合意に対する反発が多い中で、どう解決していくかなどと問われた。朴大統領は安倍晋三首相と3月に会談した際に合意を誠実に履行していくことを確認したなどと説明。少女像についても自ら触れ、「(少女像の問題は)被害者を助けることにならない」「混乱を引き起こしてはならない」などとも語った。
一方、萩生田光一官房副長官は今月、テレビ番組で「財団の設立式典の日に、大使館の前に像がそのまま残っている姿は想像したくない」などと述べていた。
日韓合意では韓国政府が元慰安婦を支援する財団を設立し、日本政府が10億円を拠出することになっているが、少女像の移転はその前提にはなっていない。韓国では日本政府は少女像の移転を10億円拠出の前提にしているのではないかといった声が出ていたことから、朴大統領も日本政府の言動を牽制(けんせい)した可能性もある。
また、朴大統領は北朝鮮情勢について、「5回目の核実験はほぼ準備は終わっており、いつでも決心すれば、できる状態だ」と述べた。(ソウル=東岡徹)