安保法制を違憲として提訴のため東京地裁に入る原告団ら=26日午後1時57分、東京・霞が関、林紗記撮影
集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法違反だとして、市民約500人が26日、同法による自衛隊の出動の差し止めなどを国に求める訴訟を東京地裁に起こした。「平和的生存権を侵害され、精神的苦痛を受けた」として1人あたり10万円の慰謝料も求めている。
訴えたのは全国に住む原爆や空襲の被害者、基地周辺住民、自衛隊員の家族、憲法学者など。代理人弁護士らでつくる「安保法制違憲訴訟の会」によると、夏ごろまでにさらに約1500人が、全国の約15地裁で同様の訴訟を起こすという。
訴状では、「安保法は憲法9条に反する」としたうえで、「日本が戦争当事国となる危険性が高まり、武力攻撃やテロ攻撃を招く」と主張。具体的な損害として、戦争体験者は「平和主義を否定される精神的苦痛」、基地周辺の住民は「攻撃対象となる危険への恐怖」などを挙げた。
会見した違憲訴訟の会共同代表の堀野紀弁護士は「三権分立の一角として、裁判所には国会の暴走をチェックする義務がある」と述べた。
この日はまた、福島県いわき市の市民ら204人も、安保法制が憲法違反だとして国に1人あたり1万円の慰謝料を求める集団訴訟を、福島地裁いわき支部に起こした。
内閣官房国家安全保障局は「訴状を見た上で関係省庁と対応を検討する。法制は憲法に合致し、国民の命と平和な暮らしを守るのに必要不可欠なものだ」との談話を出した。(千葉雄高、根岸拓朗)