製薬会社「サノフィ」(東京都新宿区)に勤めていた男性(当時47)が自殺したのは、「うつ症状があったのに適切な対処をしなかったためだ」として、遺族が同社に1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、会社に約2490万円の支払いを命じた。鈴木正弘裁判長は「自殺の2日前には男性の異状に気づけたのに同社は対応を怠った」と述べた。
判決によると、男性は営業などを担当。2007年ごろから不眠などの症状で通院を始め、09年1月に遺書を残して自殺した。
判決は、同月に入ってから男性のミスが急増し、「自分は仕事が遅い」などと発言していたことなどから、「上司は自殺の2日前には、男性がうつ病などを発症していたことを認識できた」と認定。「男性の仕事を軽くするなど、緊急対応をしていれば自殺は防げた可能性が高い」と判断した。