ロシアの新しい宇宙基地「ボストーチヌイ」で28日午前11時1分(日本時間同)、初のロケット打ち上げが行われた。搭載していた人工衛星などは9分後に分離され、打ち上げは成功した。2023年には有人ロケットの打ち上げを計画しており、将来はロシアの主力基地とする方針だ。
基地で打ち上げを見守ったプーチン大統領は「ロシアの宇宙開発の重要な一歩だ」と成功を祝った。
ボストーチヌイ宇宙基地があるのは、ロシア極東のアムール州。27日に打ち上げる予定だったが、システムの問題で延期。地元報道によると、ロシアが運用する3カ所目の宇宙基地で、初の非軍事用の基地となる。今後、大型ロケット用の発射台などを整備する。
ロシアは現在、旧ソ連時代から運用しているカザフスタンのバイコヌール宇宙基地を中心にロケットを打ち上げている。だが年間1億ドル(約110億円)以上の使用料をカザフスタン側に支払う必要があるほか、設備の老朽化も進んでいる。カザフスタンとの使用契約は50年まであるが、反ロシアの政権が誕生するなどして基地を失うリスクもあるため、12年にボストーチヌイ基地の建設を始めていた。
ただ建設工事をめぐる汚職事件などもあり、打ち上げは当初の計画から遅れた。建設費用は当初の1300億ルーブル(約2200億円)から約5千億ルーブルに膨れ、さらに25年までに5600億ルーブルを投入する見通しだ。ロシアメディアは外国と比べ、「最も高価な宇宙基地」と呼んでいる。
プーチン氏は「ロシアは宇宙開発の有力国であり続ける」として、一時は落ち込んでいたロシアの宇宙開発予算を増額。米国や中国に対抗するため、新型ロケットの開発のほか、月探査計画も準備している。ただ最近の経済後退の影響で、十分な予算の確保が難しくなる恐れもある。(ロシア極東ツィオルコフスキー=中川仁樹)