国民党傘下の会社が売却した土地に立つ台北随一の高級マンション。元は日本統治時代の台湾放送協会の土地で、この会社は戦後に無償で入手していた=鵜飼啓撮影
台湾の立法院(国会)で過半数を得た野党・民進党などが、「民主主義社会で最も金持ちな政党」と揶揄(やゆ)される与党・国民党の資産解体に取り組んでいる。不当に得た資産で政党間の公平な競争を妨げてきたと指摘している。国民党は資産を公開して正当性を訴えるなど、防戦に努めている。
「今日は歴史的な一日だ」。3月半ばの立法院。内政・財政・司法法制の合同委員会が開かれ、民進党の委員(議員)が喜びの声を上げた。この日、国民党の資産を追及する条例案の審議が始まったのだ。
1990年代以降に民主化が本格化した台湾だが、長く国民党の一党独裁体制が敷かれた。植民地として統治していた日本が第2次大戦敗戦で撤収すると、代わって統治を始めたのが当時の中国の国民党政権。党と政権が一体化した体制で、国民党は「台湾放送協会」など植民地当局や日本人が残した土地や施設を無償や格安で手に入れた。