足早に職場へ向かう三菱自動車名古屋製作所の従業員ら=12日午前、愛知県岡崎市
燃費偽装問題に揺れる三菱自動車が日産自動車の傘下に入ることが濃厚になった。拠点工場、名古屋製作所(愛知県岡崎市)の地元では、動揺が広がった。
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12日朝、名古屋製作所の豊国真也所長らが岡崎市役所を訪れ、副市長らに前日の会見の内容などを報告した。豊国所長らは、日産との提携について「報道で初めて知った」と説明。市側が、不正が疑われるRVRの生産体制への影響を尋ねると、「RVRは海外向けが大半。現時点では大丈夫だが、海外での報道によって影響はあるかもしれない」と答えたという。
内田康宏市長は「市内の取引先などへの影響や従業員の雇用安定に向け、国や県、商工会議所と連携して対応を協議したい」とのコメントを出した。豊国所長は、朝日新聞の取材に「お客様、取引先の皆様に大変な心配、ご迷惑をおかけしており、非常に申し訳ないと思っている」と話した。
従業員にも動揺が広がった。名古屋製作所に勤務する20代の男性社員は「会社から何も聞かされていないので、雇用などが今後どうなっていくのか全く分からず不安だ」と話した。関連会社の40代の男性社員は「日産との提携で何とか乗り越えて欲しいが、過去にはリコール隠しもあった。仕事がなくなっても仕方ない」。
岐阜県坂祝(さかほぎ)町にある三菱自動車の子会社「パジェロ製造」。20代の男性社員は「正直驚いているが、自分は目の前の仕事をするだけ」。三菱ブランドに誇りを持って働いてきたが、「今は何とも言い難い」と首をかしげた。