iPS細胞から作った網膜組織を患者の目に移植する臨床研究について、理化学研究所のグループが、京都大、大阪大など3機関と共同で準備を進めていることが12日、わかった。移植には、他人の細胞から作ったiPS細胞を初めて使う予定で、安全性の評価などで連携し、iPS研究を加速させる狙い。
研究は、理研多細胞システム形成研究センター(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーらが計画。京都大iPS細胞研究所(CiRA、山中伸弥所長)がiPS細胞を提供し、阪大と神戸市立医療センター中央市民病院が、手術や診察を担う方向で現在調整している。
世界初となった2014年の移植では、患者自身の皮膚の細胞を元にしたiPS細胞で作った網膜の組織を使ったが、今回は、健康な他人の細胞から作り、品質をチェックした「医療用iPS細胞」を使うことが大きな特徴。治療にかかる時間とコストを大幅に減らせると期待されている。CiRAは昨年から製薬企業や研究機関に配り始めた。