参加者と一緒に服を選ぶ鈴木綾さん(右)=1月23日、大阪市阿倍野区
体に障害があっても、おしゃれして街へ繰り出そう――。車いす生活の人たちといっしょに買い物へ行き、服選びのコツを伝授する「車いすでお買い物ツアー」が全国で開かれている。「障害者と健常者の垣根をなくそう」と、ファッションデザイナーと理学療法士の女性コンビが意気投合。2年前に始めた。
デザイナーは福岡市中央区の鈴木綾(あや)さん(40)、理学療法士は東京都中野区の岡野菜摘(なつみ)さん(27)。東京、札幌、福岡などに続いて1月下旬にあった12回目のツアーの会場は、大阪市阿倍野区のショッピングモール「あべのキューズモール」だった。
インターネットの参加募集に応じた、10~50代の車いすの男女14人が店をめぐる。ポリオ(急性灰白髄炎)の後遺症で、下半身が思うように動かない原聡子さん(56)=山口県防府市=が「きゃしゃな足が目立ってしまう」と悩んでいると、鈴木さんが「大きなチェックや淡い色のスカートがいい」と声をかけた。
1人では試着ができないから、と参加した大阪府岸和田市の女性(37)はスカートを試し、「トイレできるかな」。すわる時にすそが便器に入らないか、すそをうまくまくり上げられるかが不安という。岡野さんが「ウエスト部分にすそを挟みこめば、留められます。練習して春物を買おう」と勧めると、「これまで避けてきたけど、はけるかも」と笑顔になった。
大阪でのツアー参加費は1人500円。事前に参加者の服の悩みや着てみたい服を聞き、下見もしておく。買い物の後には実費で交流会を開き、仲間づくりも後押しする。