一人ひとりの願いがかなうよう、お守りに祈禱(きとう)する酒井智康さん=大田区の実相寺
一人ひとりの願いや悩みに応じてつくるオリジナルのお守りが人気を集めている。サービスを始めたのは東京都大田区・池上の実相寺の副住職、酒井智康さん(30)。デザイナーと組み、個人用の斬新なお守りを生み出した。「お寺に親近感を持つきっかけになれば」と丁寧に作り続けている。
「OMAMO(オマモ)」と名付けられたお守りは、「その人だけのオリジナル」が売り。お守り袋の色と柄の組み合わせは一つひとつ異なる。注文する人が色を選んで申し込み、願いや悩み事に合わせて寺側が柄を選ぶ仕組みだ。
矢絣(やがすり)、亀甲、金魚、青海波(せいがいは)……。伝統的な和柄は、それぞれに縁起のいい意味がある。「目標にまっすぐ進む」が含意の矢絣は、志望校への合格を願う受験生に。波が繰り返す柄が「いつまでも続く」を意味する青海波は、穏やかな人生を願う人に――。
池上地区は日蓮宗の大本山、池上本門寺などが並ぶ門前町。酒井さんは次代を担う一人として、寺離れが進む若い世代との接点を模索してきた。昨春、地域の寺のイベントを通じて知り合ったデザイナーの古野照雄さん(34)と藤本卓也さん(33)から、新たなお守りを提案された。
発案した古野さんは「寺と人をつなげたいと考えたとき、誰もが身近に感じるお守りが浮かんだ。願い事にあわせて柄を変えたり、現代風にアレンジしたりできたら、その過程でお坊さんとのコミュニケーションも生まれる」と考えた。