熊本地震で被災した浜田龍郎さん(右)と、被災者の「先輩」である宮城県石巻市の藤田利彦さん=熊本県益城町古閑
20年余り被災地支援を続けてきた人が、熊本地震で初めて被災者になった。熊本県益城(ましき)町のNPO法人「ボランティア仲間九州ラーメン党」の浜田龍郎理事長(71)。「被災した今こそ支援する側に」と、車中泊をしながらラーメンを振る舞う。東日本大震災で浜田さんに支援された人も、支援する側となって駆けつけた。
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熊本地震 災害時の生活情報
3.11震災・復興
浜田さんは元ラーメン店主。1991年に噴火した長崎・雲仙普賢岳の被災地を翌年支援したのをきっかけに、全国各地で高齢者施設などでラーメンを無料で食べてもらう活動を続けてきた。これまで計600回以上、8万杯を超えるラーメンを炊き出してきた。
4月14日と16日、益城町は震度7の揺れに見舞われた。浜田さんの自宅も被災した。「地元がやられたのに、落ち込んでいる場合じゃない」。車中泊を続けながら、本震の翌17日には炊き出しを始めた。
そこに駆けつけたのが、宮城県石巻市のボランティア団体「石巻市復興を考える市民の会」の代表、藤田利彦さん(54)だ。
浜田さんとの出会いは、5年前の東日本大震災。津波で母と叔母の2人を失い、支援物資が届かず苦しんでいるときだった。浜田さんは釜を持って現れ、ラーメンを振る舞ってくれた。行き場のない悲しみやあふれる思いを何時間も聴いてくれた。