アイドル活動をしていた東京都武蔵野市在住の大学生冨田真由さん(20)がファンの男に襲われ重体となっている事件で、通行人からの110番通報より前に冨田さん自身が110番通報していたことが、警視庁への取材でわかった。冨田さんの通報を受けた担当者は現場を特定する作業をせず、自宅に警察官を向かわせたという。
警視庁は当初、最初の通報は目撃者からだったとして冨田さんからの通報を明らかにしていなかった。
生活安全総務課によると、冨田さんから110番通報があったのは21日午後5時5分12秒。本人の携帯電話から発信されて「助けて、きゃー」と悲鳴があり、通報を受けた通信指令本部の担当者の呼びかけには応答がなかったという。
冨田さんは事件前の5月9日に武蔵野署を訪れ、岩埼友宏容疑者(27)=殺人未遂容疑などで送検=の名前を挙げ、「ツイッターの書き込みをやめさせてほしい」と相談。その後、署は冨田さんから東京都小金井市内のライブイベントに出演することを聞き、冨田さんから通報があれば名前や住所が分かるよう携帯番号を「犯罪被害防止等即時対応システム」に登録したという。
事件当日に冨田さんからの通報を受けた通信指令本部は、携帯電話の発信地を確認せず、システムに登録された住所地を管轄する武蔵野署に連絡。同署員が現場から約2キロ離れた自宅に向かったという。
警視庁の説明では、110番通報があれば発信地を確認する手順となっており、通常であれば数秒で大まかな発信地を特定できる。確認作業をしなかったことで、目撃者の通報により現場を特定して警察官を向かわせたのは、冨田さんからの通報から約4分後だったという。