シドニー北部で行われた3LDK物件のオークションは1億2千万円から始まり、1億4400万円で落札された=郷富佐子撮影
オーストラリアで7月2日、総選挙が行われる。ターンブル首相(61)が上下両院の同時解散に踏み切ったため、29年ぶりの「両院総改選」になった。激戦になった与党・保守連合(自由党、国民党で構成)と野党・労働党の選挙戦で、争点の一つは高騰する住宅価格の問題だ。
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5月末の土曜朝、シドニー中心部から車で20分ほど北部の低層マンションに、40~50代の約30人が集まった。目当ては4階の3LDK(168平方メートル)だ。木づちを持った不動産業者の男性が叫んだ。「ではオークションを始めます。いくらから?」
一瞬の沈黙の後、女性が「150万(豪ドル、約1億2千万円)で」。「160万」「170万」と入札が続いた。競り合った末、ジーンズ姿の夫婦が180万ドル(約1億4400万円)で落札した。
30分後、シドニー南西部の国際空港に近い一戸建て前でも、約20人によるオークションが始まった。数分おきに上空を飛ぶ旅客機の爆音が響くなか、80万ドルから始まって100万ドル(約8千万円)で落札された。競り負けた33歳の女性は「残念だけれど、ここに100万ドルの価値はないわ」。