歩きながらスマートフォンに触れる人たち=東京都渋谷区
歩きながらスマートフォンの画面を見たり操作したりする「歩きスマホ」が原因の事故が絶えない。人で混雑する場所での衝突や駅のホームからの転落事故――。消防や鉄道会社、携帯電話会社が注意を呼び掛け続けているが、今月13日には電車にはねられ死亡する事故も発生した。
東京都品川区にあるりんかい線天王洲アイル駅。13日朝、都内の大学に通う20代女性がホームから転落し、走行中の電車にはねられ亡くなった。警視庁品川署によると、女性はスマホの画面を見ながらホームを横切るように歩いていた。耳にはイヤホンを付けていたという。
2002年に全線開通したりんかい線で、ホーム内での死亡事故は、これが2件目だった。事故を受け、列車を運行する東京臨海高速鉄道は線内7駅のホームに「歩きスマホ 大変危険です」と注意を促すB2判のポスター計28枚を掲示。これまでもホームや車内のアナウンスで注意を促していたが、同社担当者は「痛ましい事故を起こさないために引き続き(危険性を)周知していく」と話す。
東京消防庁によると、15年までの5年間に携帯電話やスマホに絡む事故で救急搬送された人は172人。最多は15年の42人(暫定値)だった。
このうち駅のホームから転落する事故は11年3人▽12年1人▽13年4人▽14年0人▽15年5人。13年には小学5年の男児が携帯電話を見ながらホームから落ち、顔などにけがをする事故があった。
東京消防庁が14年、18歳以上の男女400人を対象に実施したアンケートでは、「歩きや自転車に乗りながらスマホ等の使用を経験」は49・1%で、「使用に際し危険性を感じる」と答えた人は9割に上った。