2013年1月14日の朝に発表された「悪天予想図」。晴れた空で突然乱気流に遭遇する恐れがある所は、山型のマークと「CAT」の表示で示されている
「揺れても飛行の安全性に影響はありません」。飛行機に乗った時、こんなアナウンスが流れることがある。その根拠は、気象庁が作製する「空の上の天気図」にある。空港に最新のレーダーを配備し、航空機の離着陸の際の突風対策を強化している。
「今日は全く雲や乱気流がなさそうですね」
3月のある早朝。羽田空港にある全日本空輸のオペレーションコントロールセンターでは、羽田発広島行きに乗務する猿棒(さるぼう)正芳機長が、気象庁作製の航空機用の天気図「悪天予想図」で航路を検討していた。
午前7時に乗客約220人を乗せた671便が離陸。軽い横揺れを感じたが、2万フィート(約6千メートル)を超えた後にシートベルト着用サインが消えた。この日の巡航高度3万8千フィート(約1万1千メートル)に達する前に揺れはぴたりと収まった。離陸前の客室乗務員との打ち合わせで、猿棒機長が「離陸から10分間くらいは軽い揺れがあります」と説明した通りだった。
乱気流に遭遇し、乗客らが負傷する航空事故はしばしば起きている。事故を未然に防ぎ、快適なフライトにするため、悪天予想図など十数種類の資料を確認、天候に細心の注意を払う。