大阪大医学部付属病院は7日、生まれつき肺のつくりが通常と異なる重い病気の女児に、出生前の治療と出生後の手術を行い、成功したと発表した。後遺症もなく先月下旬、退院したという。
女児の病気は肺が作られるとき、ふくろ状の囊胞(のうほう)ができる先天性肺囊胞性腺腫様奇形(CCAM)。同病院での胎児への治療は昨年度5例あるが、重いCCAMの子どもに出生前と出生後に治療した例は国内では報告がないという。
CCAMは5千人に1人の割合で発症。大半は胎児のうちに囊胞が自然に小さくなるが、重症化すると心臓や肺を圧迫、呼吸不全で亡くなることもある。
そこで同病院胎児診断治療センターのグループは、23週の胎児の段階で、母親のおなかごしに針を刺して胎児の囊胞を小さくした。出生前に再び悪化したため、生後2日目に人工心肺をつけた状態で左の肺を一部切除。生後14日目に左肺に残った病変を取り除く手術をした。女児は人工呼吸器も外して5月21日に退院した。親は「元気になって退院できてうれしい」と話していたという。(後藤一也)