米演劇界で最高の栄誉とされる第７０回トニー賞が１２日（日本時間１３日）、ニューヨークで発表され、米建国の父の一人、アレキサンダー・ハミルトンを主人公にした「ハミルトン」がミュージカル作品賞や脚本賞など１１部門で受賞した。

「ハミルトン」米で社会現象に 建国の父描いたミュージカル 配役に共感、書籍も完売

「ハミルトン」、作品賞など１１部門受賞 トニー賞

「ハミルトン」は人種的マイノリティー中心の配役や音楽にヒップホップを使った演出が話題を呼び、来年初めまでチケットが完売となるなど、社会現象となっている。ノミネーションは過去最多となる１６だったが、受賞は「プロデューサーズ」（２００１年）の１２部門には及ばなかった。演劇はある米国人家庭の一夜を描いた「ザ・ヒューマンズ」が作品賞を受賞した。

授賞式を生中継したＷＯＷＯＷに出演した演出家の宮本亜門さん（５８）は放送後、「ハミルトン」の１１部門での受賞について「ラップに哲学的な深い意味をのせて伝え、ノリもよく、テーマ性もある。多様な人種の役者が出演、自由な表現をお客さんが楽しめた。『ハミルトン』を知らない若い世代も自分たちの時代のことのようにとらえ、夢中になったのだろう」と分析する。宮本さん自身も昨年暮れに観劇、ノリの良さと世界観に魅せられたという。

「授賞式ではオバマ大統領がコメント、出演者らがフロリダ州の銃撃事件について述べた。自分たちの主義主張を作品に載せる『ハミルトン』が作品賞を受賞。単なるエンタメではない、時代が大きく動いたトニー賞だった」と話した。（真鍋弘樹＝ニューヨーク、山根由起子）

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ミュージカル作品賞以外の主要部門の結果は次の通り。

【ミュージカル】主演男優賞＝レスリー・オドム・ジュニア（ハミルトン）▽主演女優賞＝シンシア・エリヴォ（カラーパープル）

【演劇】作品賞＝ザ・ヒューマンズ▽主演男優賞＝フランク・ランジェラ（ザ・ファーザー）▽主演女優賞＝ジェシカ・ラング（夜への長い旅路）