大量の紙幣が空から降ってきて、「あなたたちのもの」と言われたら、どうする? レストランでうまいものを食べ、最新のスマホを買う。それとも旅行費用に? いずれにしても消費は盛り上がるにちがいない。物価が上がって困るかもしれないが。
半世紀前、経済学者ミルトン・フリードマンは景気刺激のために「ヘリコプターマネー」という思考実験をしてみせた。実際には空からお金をまくのでなく、中央銀行が大量の紙幣を刷って人々に配るという想定だった。
この構想はずっと封印されてきた。現実世界ではリスクが大きすぎるからだ。やれば政府も中央銀行も信用を失い超インフレになりかねない。
その禁断の策が最近、世界の金融専門家の間で再び話題になってきた。そして、こうささやかれている。「すでに日本ではヘリコプターマネーがまかれているじゃないか」