4歳の息子が死亡したのは病院のミスが原因だとして、福岡県久留米市の両親が17日、治療した久留米大学病院(同市)を運営する久留米大を相手に、慰謝料など約5700万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁久留米支部に起こした。
訴状によると、男児は2007年6月に腹痛を訴え、救急搬送された病院で腹部に腫瘍(しゅよう)が見つかり、久留米大学病院に転院。「胎児型横紋筋肉腫」と診断された。化学療法を受け、肺や肝臓などに転移した腫瘍も消滅したとされる。
その後、病院側は腫瘍を完全に消滅させるための大量化学療法を提案。治療では造血幹細胞も死滅してしまうため、男児の幹細胞を冷凍保存した。08年1月からこの治療を始め、冷凍保存した幹細胞を2回移植したが成功せず、同年7月に男児は死亡した。
病院側は、移植が成功しなかった原因の可能性の一つに、幹細胞を保存していた冷凍庫が故障していたことがあると両親側に伝えたという。両親は「冷凍庫が故障していることに気づかなかった病院に過失がある」としている。久留米大は「訴状を見てから適切に対応する」とコメントした。(倉富竜太)