安倍晋三首相は19日、憲法改正の具体的な条文を議論するため、秋の臨時国会から衆参憲法審査会を再始動させる考えを明言した。参院選で憲法を争点化させることには慎重な姿勢を示しながら、「国会発議をするためには憲法審査会で議論をするのは当たり前」と強調した。
特集:2016参院選
19日夜、インターネットの動画配信サイト「ニコニコ動画」の党首討論で語った。首相は「どの条文を変えていくか、憲法審査会で残念ながら収斂(しゅうれん)されていない」と語った上で、「この(参院)選挙の結果を受けて、どの条文を変えていくか、あるいは条文の中身をどう考えていくか議論を進めたい」と訴えた。
首相は今年1月、通常国会の施政方針演説で憲法改正について「正々堂々と議論し、逃げることなく答えを出していく。その責任を果たしていこう」と国会での論戦を呼びかけた。だが、通常国会では衆院憲法審査会の実質審議が行われず、首相は最近の参院選に向けた街頭演説でも憲法改正には触れていなかった。
この日は、ニコニコ動画に先立つNHK「日曜討論」でも憲法改正に議論が及んだ。首相は憲法のどの条文を改正するかは衆参両院の憲法審査会で議論すると主張。また「憲法改正は国民投票がまさに主役だ」と語り、議論を国会に委ねた上で国民の理解を得る考えを示した。
これに対し、民進党の岡田克也代表は「安倍さんは(参院議席の)3分の2を取れば必ず憲法改正をする。許してはいけない」と強調。首相が最近の街頭演説で改憲に触れていないことを取り上げ、「選挙に不利かもしれないと争点隠しをしている」と批判した。
共産党の志位和夫委員長も「自民党の憲法改正草案を許していいかが参院選の大争点だ。9条2項を削除して国防軍を明記し、海外での武力行使を可能にしている」と訴えた。
首相は改正発議に必要な3分の2以上の議席を自公で確保している衆院に加え、参院でも改憲勢力で3分の2以上をめざすのかを問われると、「もちろん構成したい」と述べた。