三島由紀夫賞を受賞した蓮實重彦さん(右)と山本周五郎賞を受賞した湊かなえさん(左)=東京都港区のホテルオークラ東京
第29回三島由紀夫賞・山本周五郎賞(新潮文芸振興会主催)の贈呈式が24日、東京都内で開かれ、蓮實(はすみ)重彦さん(80)と湊かなえさん(43)が受賞のあいさつをした。
「しめやかに読みあげます」 蓮實重彦さんの挨拶全文
「伯爵夫人」(新潮4月号)で三島賞を受けた蓮實さんは、受賞会見で「全く喜んではおりません」「非常に迷惑な話」と厳しい表情で答え、話題になった。この日は「聴衆を前にしてマイクを握ると何を口走るか分かりませんので」とあいさつ文を書いた紙を取り出し、「この授賞式が『自分の気に入ったこと』でないのはいうまでもありません。しかし、あたかもそれが『自分の気に入ったこと』であるかのように振る舞う才覚は、わたくしにも多少はそなわっております」「お読み下さったすべての方々に、複雑な思いのこもった感謝の言葉をさしむけさせていただきます」と穏やかな口調で読み上げた。
「ユートピア」(集英社)で山本賞を受賞した湊さんは、次点に終わった押切もえさんが注目されたことに触れ、「押切さんの作品は素晴らしいと思う。でも肩書はどうでもいい。面白いかどうか、それだけで十分」と語った。
第42回川端康成文学賞(川端康成記念会主催)の贈呈式もあわせて開かれ、「生鮮てるてる坊主」(群像9月号)で受賞した山田詠美さん(57)が「この年齢でこんな野蛮なこと書いてるんだって思われるようになりたい。目指すのは瀬戸内寂聴先生です」と話した。