有権者と握手を交わす候補者=24日、JR浦和駅、平良孝陽撮影
7人が立候補した参院選埼玉選挙区(改選数3)では、自民と公明が競合しながらも「与党で2議席」を掲げ、選挙協力を進める。野党は共闘することなく民進が独自の戦いを繰り広げ、共産も絡み混戦模様だ。
特集:2016参院選
朝日・東大谷口研究室共同調査
24日、自民現職の関口昌一氏(63)はさいたま市内のJR駅で、通勤客らに「よろしくお願いします」と次々に握手を求めた。22日の第一声では「経済の再生は国民共通の願い。実現するため全力で頑張ります」と声を張り上げた。
選挙区で唯一の自民候補として、2013年の前回参院選で自民候補が得た100万票を目標にトップ当選を目指す。県議や衆院議員単位の集会を重ねる。
公明は現職の西田実仁氏(53)を擁立。公明支持層を固めるだけでなく、安倍晋三首相と並ぶポスターを貼り、自民党本部発行の号外チラシを配る。
自民は前回参院選に続いて埼玉で公明候補を推薦。全国に32ある1人区で公明からの支援を期待する自民党本部が強行したもので、自民県連には「支持層を侵される」との懸念が根強い。前回は公明支持者が自民候補の集会で突然ビラを配るなどして摩擦が生じた。
半面、衆院選や地方選では公明票に頼らざるを得ない議員には、公明への支援の姿勢を示す必要がある。自公両党は推薦決定とあわせ「集会は別々に開く」といったガイドラインを作成、トラブル回避を図った。
今月7日、自民衆院議員が開いた決起大会の壇上には関口、西田両氏が並んだ。西田氏は自民支持者に「ともに勝ち残りたい。私に対しても、温かいご支援を」と呼びかけた。
ただ、推薦を錦の御旗にした公明の勢いに、「なし崩し的に選挙協力が進んでいる」と苦い顔をみせる自民県議もいる。
1人区で本格化する野党共闘を横目に、民進現職の大野元裕氏(52)は議席死守を目指す。
さいたま市で13日にあった討論会。野党共闘を強調した共産新顔の伊藤岳氏(56)に対し、大野氏は「共闘していない。安倍政権の打倒と安保法廃止に合意しているだけだ」と説明に追われた。共産との連携は、自身を支持する保守層の離反につながりかねないからだ。
3度目の参院選に挑む伊藤氏は、安保法廃止やアベノミクス批判を訴え、18年ぶりの議席獲得を目指す。「大企業は大もうけしたが、私たちの暮らしは苦しいままだ」と政権批判に的を絞り、支持を広げる。(平井恵美、有近隆史)
■埼玉選挙区候補者
伊藤 岳56 共新
大野 元裕52 民現
西田 実仁53 公現
小島 一郎45 諸新
関口 昌一63 自現
佐々木知子47 こ新
沢田 良36 お維新
(届け出順)