立候補取りやめの記者会見をする民進党香川県連代表の小川淳也衆院議員(右)と岡野朱里子県議=香川県庁
夏の参院選の香川選挙区(改選数1)に共産党の新顔が野党統一候補として立つ方向になった。民進、共産、社民など野党4党は、32の1人区で野党共闘を進めてきたが、共産系が統一候補となるのは初めて。一夜にして注目区となったが、民進党などには戸惑いがみられる。一方、与党側は「野合批判」を強め、気勢をあげている。
共産系で野党統一候補へ 参院選・香川、民進が取り下げ
「ひとつ読み違いがあったとしたら、共産党中央の意向が日々刻々と硬化していったことだ。精いっぱい、ことを丁寧に運んだつもりだが」
民進県連代表の小川淳也衆院議員は20日、高松市内での会見でこう語った。民進と社民が推薦する予定だった岡野朱里子県議(42)の立候補辞退を正式に発表したが、悔しさをにじませた。
民進の対応は二転三転した。当初は同党の候補擁立をめざしたが、難航。4月には共産公認の党県常任委員、田辺健一氏(34)を統一候補にする方向で調整に入った。しかし、岡野氏が4月下旬に立候補を表明すると、岡野氏での一本化に傾いた。
民進県連の関係者によると、県レベルでは、共産から岡野氏への支援が得られる感触があったという。しかし、全国で野党統一候補の擁立が進む中、共産系が皆無なことに共産党中央が態度を硬化。小池晃書記局長は5月16日、国会での記者会見で「田辺候補を野党統一候補にすることを実現したい」と明言していた。その後の党中央の水面下の折衝で、岡野氏が降りることになった。
共産の志位和夫委員長は20日の会見で「(共産の統一候補が)1カ所でもできると、野党共闘全体の結束度が一段と高まることは間違いない」と強調した。
しかし、小川氏は20日の会見で、田辺氏への支援について「現時点では白紙。積極的な連携ができるかは今後の調整、協議に委ねる」と述べるにとどめた。岡野氏を支援する予定だった無所属の県議も「困惑している。ポスターを貼って、事務所の準備をして、一生懸命やってきた人たちはショックだ」、社民党県議も「うちの支援者は『共産党で選挙しなくてすむ』と喜んでいたのに」と漏らす。
一方、野党が共産新顔に候補者を一本化することについて、現職の磯崎仁彦氏(58)の再選を目指す自民党の県議は「野合というのがわかりやすくなる。我々としては戦いやすい」と語る。磯崎氏を推薦する公明党県本部は「野合集団ここに極まる」との談話を発表した。