小学校跡地にある校歌の碑の前に立つ最年少の岩城保人さん(19)=三重県志摩市志摩町和具
5月末に開催されたサミットで各国首脳が集い、世界の注目を集めた三重県志摩市の賢島(かしこじま)と同じ英虞(あご)湾に、小さな島が浮かんでいる。
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間崎島(まさきじま)。
定期船でつながる賢島からは南へ2キロ。島民89人が暮らす離島で、選挙戦はどうなっているのか。島を訪ねた。
「平々凡々、ここはなぁんにも変わらんよ」
自治会長の岩城保司(やすし)さん(76)が、閑散とした港で迎えてくれた。
「候補者がこの島で演説したことかい? まあここ40年はないね。票が少ないから来てくれん」。65歳以上が65人。岩城さんが「私なんてまだ青二才」と笑うほど高齢化が激しい。
島きっての働き盛りの長男、由起雄さん(52)は、真珠やノリの養殖で生計を立てる。7人の同級生はみな島を出た。後輩もほとんどいなくなった。
最年少は、由起雄さんの長男で19歳の保人(やすと)さん。次に若いのが妻の恵さん(48)。島に20~30代はいない。由起雄さんは言う。
「取り残されていると感じます。政治にも期待はしません。困ったら自分で何とかする。島で生きるにはそうするしかない」