地震で被災した熊本城。これから本格的な復旧事業が始まる
安倍内閣は28日の閣議で熊本地震の応急復旧のため、補正予算で計上した7千億円の「熊本地震復旧等予備費」のうち、210億円の使い道を決めた。被災した熊本城(熊本市)や阿蘇神社(熊本県阿蘇市)などの文化財の修復に16億円をあてる。熊本地震で被害を受けた文化財修復への予算措置は初めて。
熊本城の復旧には3・6億円をあて、公道をふさいでいる石垣の石材を回収したり、倒壊した「東十八間櫓(やぐら)」を解体したりした後、部材などを保管する。今後の修復に使う。文化財は通潤橋(つうじゅんきょう、同県山都町)や江藤家住宅(同県大津町)など計22件が対象となる。
ただ、財務省によると、熊本城をもとの姿に戻すには、さらに費用がかかるが金額は見通せていない。特別史跡や重要文化財に指定されているため、「伝統的工法に従って再現していくが、再建の進め方が決まっていない」(主計局)という。
文化財の復旧のほかには、国道3号や緑川といった河川など公共土木の復旧に169億円、被災した穀物の乾燥貯蔵施設の再編整備など農業関連にも20億円をあてる。(大津智義)