参院予算委で答弁する安倍晋三首相=28日午前、岩下毅撮影
学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐり、安倍晋三首相は28日午前の参院予算委員会の集中審議で、首相が2015年2月25日に加計孝太郎理事長と面会したとされていることについて「加計理事長とお会いしたことはない」と改めて否定した。さらに「加計理事長とは獣医学部の新設について話をしたことはない」とも強調した。28日午後には衆院予算委で集中審議が行われる。
【速報】予算委集中審議タイムライン
愛媛県が国会に提出した文書には、加計学園側の報告として、首相が15年2月25日に加計氏と面会して「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と述べたと記されている。
これに対し、首相は「伝聞の伝聞」だと指摘。15年2月25日前後の加計氏との面会について、新聞に掲載された「首相動静」で確認したと説明。その結果、加計氏との面会は14年12月と15年4月で、15年2月には面会していないとした。
さらに加計学園が今月26日に愛媛県の文書について「当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまった」とのコメントを出したことにも触れ、加計氏との面会を否定した。
また、15年2月25日ごろに加計氏と電話したかどうかを問われると、首相は「3年前に友人と電話で話したかどうかについては、正確にお答えすることはできない」と述べた。
一方、愛媛県今治市の菅良二市長は25日、首相と加計氏が面会したという報告を担当者から受けていたことを明らかにしている。参院予算委は28日朝の理事会で、今治市に対し、15年2月に首相が加計氏と面会したという学園側の報告が記された文書などの提出を要請することを決めた。
財務省が森友学園との国有地取引に関する決裁文書を改ざんし、交渉記録を廃棄していた問題では、財務省の太田充理財局長が「国会審議を冒瀆(ぼうとく)したという批判を浴びても、何の言い逃れもできない。誠に申し訳ない。深くおわびを申し上げる」と陳謝した。麻生太郎財務相も「財務省トップとして、深くおわびを申し上げる」と語った。
今月23日に財務省が国会に提出した交渉記録には、首相の妻昭恵氏付の職員が森友学園との土地取引で財務省に問い合わせたことを示す内容も含まれていた。これに対し、首相は「制度上の問い合わせ」だと説明した上で、「私や妻がこの国有地払い下げや学校の認可に、事務所も含めて一切かかわっていないことは明らかだ」と主張した。
参院の郷原悟事務総長は、衆参両院で交渉記録について「破棄した」「残っていない」とする趣旨の答弁があった回数について、今月24日までに財務省の佐川宣寿・前理財局長が計43回、麻生氏が11回だったと明らかにした。