中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が5日、北京の人民大会堂で開幕した。2018年の国防予算案が発表され、前年実績比8・1%増の1兆1069億5100万元(約18兆4千億円)となった。3年連続の1桁の増加率だが、昨年の伸び率(7%)を上回り依然として高い水準を維持している。
中国の国防予算は米国に次ぐ世界2位。米国が2月に発表した予算教書では、国防総省予算が6861億ドル(約72兆5千億円)となっており、中国はまだ4分の1程度だが、新兵器の開発費や海外からの装備調達費などが「隠れ予算」として別枠で存在するとの指摘もあり、実態は不透明だ。
日本の防衛予算額は07年に中国に抜かれ、18年度当初予算案は5兆1911億円。英国の有力シンクタンク国際戦略研究所(IISS)の最新の発表によると、世界8位の水準となっている。
一方、今年の国内総生産(GDP)の成長率目標は昨年と同じ6・5%前後とすると発表した。昨年は6・9%(速報値)と目標を大幅に上回る成長を遂げていたが、高い成長率を追わず、質のよい経済発展を目指す姿勢を鮮明にするため、控えめの数字に据え置いたとみられる。
今回の全人代では、14年ぶりとなる憲法改正や公職者の汚職などを取り締まる国家監察委員会の設置などが審議されるほか、正副国家主席や政府の主要ポストが決まる。(北京=冨名腰隆、福田直之)