ロシアのプーチン大統領は29日、トルコのエルドアン大統領と電話し、昨年11月にシリアでの軍事作戦に従事していたロシア軍機がトルコ軍機に撃墜された事件後ほぼ断絶していた両国関係を正常化することで合意した。
両大統領が直接言葉を交わすのは事件後初めて。ロシア大統領府によると、両大統領は近く直接会談する方向で調整する。
今回の電話は、エルドアン氏が撃墜事件についての謝罪のメッセージを27日にプーチン氏に伝えたことへの返答という形で行われた。プーチン氏はエルドアン氏の謝罪を評価し、貿易経済などあらゆる分野でトルコとの関係改善に着手するようロシア政府に指示する方針を伝えた。トルコ側からの要望が強かったロシア人観光客の渡航制限を解除する考えも伝えた。プーチン氏は、イスタンブールの空港テロについて哀悼の意を表明し、共にテロと戦う考えを伝えた。
1日にはロシア南部ソチで両国外相が会談を行う。中断されていたロシアから黒海、トルコ経由で南欧につなぐガスパイプライン計画も再び動きだす可能性が高い。アサド大統領の処遇を巡って両国が対立しているシリア情勢についても意見交換する見通しだ。
11月のロシア軍機撃墜ではパイロットが死亡し、両国関係は著しく悪化。一方で経済状況の悪化などから、関係改善を水面下で探っていたとみられる。(モスクワ=駒木明義)